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知らなくってもいい性
第21章 ケジメ

...そもそもちょっと妻が家を出たぐらいで、浮気相手と別れることもなかったんじゃないだろうか?
妻がいなくなった原因が浮気だとはまだ決まった訳でもないし。
そんな考えが何度も頭の中に浮かんでいた。
携帯に保存してあるユイちゃんの笑顔を見る。
可愛いよなぁ。
もったいないよなぁ。
・・・
マキは...どうだった?
あいつは可愛いっていうタイプじゃなかった。
そもそもはタイプじゃなかったけど、合コンで収穫がないのも嫌だったから最初はとりあえずって感じで付き合いが始まったんだっけ?
携帯のデータ内を探すと、一年ほど前に行った日帰り旅行の際に撮ったものが見つかった。
やっぱり無愛想だ。
俺もただ記念ぐらいにしか思わず、可愛く撮ってやろうなんて全然思わなかった。
それ以外にマキの写真は見つからなかった。
あいつの笑顔、最近いつ見たっけ?
そういや付き合い始めもあんまり笑顔なんて作るタイプじゃなくて、なんかクールでちょっと近づきがたい感じだったっけ?
でも、何が原因だったかもう忘れたけど、なんかくだらないことでふいに笑った顔がすごい可愛いかった。
ギャップにやられた。
俺がたくさん笑顔作ってやろう。
...そう思ったんだっけ?
なのに俺は結婚までしておいて、あいつの笑顔のことなんて全く気にもかけなかった。
最近は帰ってきて、飯食って、風呂入って、ユイちゃんにメールして寝る。
そんな毎日だった。
マキの顔なんてほとんど見なかった。
見るとイライラする気がした。
マキはどんな気持ちだっただろう?
それでも、こんな俺に毎日飯作ってくれてた。
そうだ。
俺はやっぱり自分の気持ちにケジメをつけないと探したくなかったんだ。
いや、探す権利すらないように感じていた。

