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知らなくってもいい性
第23章 帰る
「いや、確かにあんたの頭から集中力を欠くための要素は取ったけど、でも違う。
もともとみんな変だったけど、あんたが来てからはみんなもっと変だったから、あんたが死ねばみんな戻るんじゃないかと思って。
昨日あんたの頭に入れたのは絶望的なぐらいの悲壮感だった。
自殺でもするかな。って思ってたのに。
あんたが意気揚々としてる姿見て、びっくりした。」
自殺!?...
あぁ、でもそういう気分にはちょっとなってたかも。
「でも、まぁいいや。
私の能力が効かないなんて。あんたやるじゃん!
みんなのことは適当にあしらっとく。
行きなよ。
私もここにいるのにはちょっと飽きてきてたし。そろそろ他行こうかな。
ちなみにそこの前の道一時間ぐらい歩いて行けば大きい道に出るから。そんで、左にしばらく進んでくとバス停がある。」
「...いろいろとありがとう。」
殺されそうになった訳だからなんか複雑だけど、とりあえず礼を言って、服を着ると言われた通りにバス停に向かった。
運のいいことにバス停に着いて、しばらくするとバスがきた。
久々だと歩くこともバスに揺られることも心地よく感じる。
終点の駅で場所を確認すると、自分の家から無茶苦茶離れている訳ではなく、隣の県だったことに少し安心した。
財布の中身をかき集めれば電車とタクシーを使ってなんとか帰ることができそうだった。