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知らなくってもいい性
第9章 能力者
「カズキ、ちょっとこっち来て。」
前にいたカズキは一瞬でボスの隣に移動する。
「ちょっとユマ呼んできて。」
「分かった。」
頷くとカズキはまたどこかへ消えた。
「シューヤ、とりあえずお前の力であいつの視界眩ませといて。」
「OK ~♪」
私は彼らのそんなやりとりなど知るよしもなく、邪魔がいなくなったことをいいことにどんどん進んだ。
あともう少し!とその時、後ろからバリアの隙間を縫って水が勢いよく前へ飛び出してきた。かと思うと目の前に噴水のように水が上がったり、下がったりを繰り返す。
目の前をカーテンのように覆う水はくねくねと不思議な動きを見せていた。
「きれい...。」
思わず立ち止まってしまったけれど、これじゃあ奴らの思うツボだ。
確かに常に激しく動き続けている水は泡を含んで視界を悪くしているけど、こんなカーテンくぐってしまえばなんてことない。
クラッ
「あれっ?」
急に頭にズシッとした重みが走り、目眩がした。
...駄目だ。
集中力が途切れてしまう...
意識をしっかり保たないとこの空間は維持できない。
何が起こったのだろう?
周りを見てみても前も後ろも水しぶきに覆われていて何も見ることができない。
ズキッ
「うぅっ!」
さらに頭に衝撃が走る。
駄目だ...。維持できない...
「やっと入れた。今度こそもう逃がさないから。」
気付くと背後にカズキが来ていた。
...もう少しだったのに...
そして、
私はまた意識を失った。