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知らなくってもいい性
第11章 家の景色
仕事から家に帰ると、やはり妻の姿はなかった。
真っ暗な家に明かりを灯す。

「なんだよ...。」

とりあえず、カップ麺を取りだしお湯を沸かす。
その間に冷蔵庫から缶ビールを取りだし、グビッとやる。

「ふっー、ったくどこ行ったんだ?」

ひょっとして、バレたんだろうか?
結婚してまもなく3年を迎えるが、今までなんの連絡もなく、いなくなるなんてことはなかった。

浮気の一つや二つ、別に急にいなくなることもないのに...

ふと台所を見つめる。


やがてポヒュッと独特の音がして電気ポットのお湯が沸いた。
カップ麺にお湯を注いで、またぼんやりと家の中を眺めた。
家をゆっくり見るなんて久々だ。
そんなに長い間空けていた訳でもないのに。

3分も待たず、2分で食べ始める。
これはこれでうまい。

でも、満たされるのは空腹だけだ。
求めてる物が違う。

ふいに携帯が鳴る。
ユイちゃんからのメール。

普段ならちょっとしたやりとりでもテンションが上がるのに...
なんだか気分が乗らず、適当にやりとりをしたのちに早々に「おやすみ。」と送り、切り上げた。
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