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LEMON DEPENDENCE
第5章 故郷からの使者
「行こう!」

「ちょ…」



どこに行くかも告げず、矢野くんは私の手を取ると小走りしだした。

身長差から考えて必然的に、私は飼い犬に引きずり回される飼い主のような哀れな体勢で矢野くんの後を必死で走った。


汗が噴き出してくる…

勘弁してくれ!!


しかし矢野くんは案外早く足を止めた。

勢い余った私はつまずいて矢野くんにタックルをかましてしまった。


ごめんよ矢野くん…

―――わざとじゃないです!!


矢野くんは笑ってあっさり許してくれた。

本当に昨日の矢野くんとは、大違いだ。


最初は「もう、このカルシウム足りない子なんなの!?」

くらいの認識だったけど、実際に一緒に過ごしてみると全然違う。


矢野くんは一緒にいて、居心地のいい子だ。


この自称「気難しい変人」の私が太鼓判押すんだから、間違いない!
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