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第9章 新しい生活

「…タイムオーバーだ麟太郎…。パエリアがきた。」

と言うと、恭介は俺を優しく離して、玄関の方へと消えて行った。

暫くすると何やら大きな箱を抱えて、恭介が現れた。

それをテーブルに置くと、

「…箱を開けておいてくれ。皿を持ってくる。」

と恭介はキッチンに向かった。

俺はその箱から物を出すと、量の多さにちょっと引いた。

…何人で食うんだよ。

大きな海老が6匹も乗っている。

俺はそもそも少食なので、多分お皿１杯分程しか食えないだろう。

…まぁ…明日の昼飯とかでもいいし。

それでも…残りそうだよな。

恭介がお皿とフォークを持ってきた。

「…はい。好きなだけヨソッテ食べろ。」

と恭介に言われて、俺は食べれそうなだけヨソッタ。

恭介も自分でどんどんお皿に入れていく。

……えっ？

恭介はお皿に山盛り入れると、

「…いただきます。」

と礼儀正しく挨拶をして、食べ始めた。

俺も慌てて、

「いただきますっ。」

と言って、パエリアを口に運んだ。

「んっ!!おいひい…」

俺は頬張りながら絶賛した。

「…意外と旨いな。パエリアは頼んだ事がなかった。」

と恭介はビールを飲みながら微笑んだ。

…頼んだ事無いのかよ。

恭介はあっという間にお皿を空けた。

俺はまだ…半分以上残っていた。

すると恭介はまた同じ位ヨソウと、上品に食べ始める。

……恭介って…そんなに食べるんだ。

そんな恭介に釘付けになっていると、

「…お前…食べるのも遅いな？」

と笑っていた。

…のもって…パソコンの事言ってんのかよ。

俺はやっと食べ終えて、お皿をテーブルに置いた。

「…えっ？お前…もう要らないのか？」

と恭介がビックリしている。

「…もう…入んないよ。」

とビールに口を付けると、

「…だからそんなに華奢なんだ。…女でももっと食うぞ。」

と呆れていた。