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銀剣士の憂鬱
第6章 後悔
「くそっ!!」
ドンッ
サラはベットの横の壁を叩いた。
(あれからもう3日は経つ。チェチェは無事だろうか?)
自分の軽率な行いを思い返すと後悔しか浮かばなかった。
「こらこら。家を壊す気か!?
そんなことばかりしてたら、治るもんも治らん。
本当に女なのになんて力だ。」
壁にはもういくつものへこみがついている。
サラは町で僧侶の治療を受けていた。
あの日、最後の魔物を倒すのに必死でチェチェが拐われたことに気がつかなかったのだ。
チェチェのいた場所には紋章の書かれた布切れが落ちていた。
チェチェは魔力がなくなった瞬間を狙われている。
明らかにサラへの挑発だった。
すぐにチェチェのあとを追いたかったが、最後の魔物を倒す際に、治りかけていた傷が開いてしまったことと、魔物が連続で現れる異常事態を冷静に考え、とにかく身に付けているものを全て聖水で清め、これ以上傷が開かないように簡単に処置をしてから後を追った。
半日近く歩き、犯人の根城の地域には目星をつけたが、傷の限界を感じて一旦近くの村で1日治療を受けた後、翌日に傷は治っていなかったが、策を練るために付近で一番大きな町へと移動していた。
町を歩き回り、少しでも犯人の情報を得ようとしたが、完全には塞がっていない傷口からの多量の出血により倒れこんでいたところをこの家の僧侶に救われたのだった。
「暴れると術が効かない。
安静にさえすれば、明日中には治る。
今はしっかり休め。」
まずは傷を完治させてからじゃないとチェチェを救えないのはよく分かっている。
しかし、サラはいてもたってもいられなかった。