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銀剣士の憂鬱
第6章 後悔
コンコンッ
その時、僧侶の家に来客があった。
「銀剣士が運ばれたっていうのはこの家かい?」
サラが町に着いた日に調査を依頼していた情報屋だった。
「どうする?」
「通して欲しい。話しが聞きたい。」
僧侶の問いにサラは即答した。
「えっ!?...銀剣士って女だったのか!?」
「ふんっ。それで、何か分かったのか?」
もう僧侶には見られてしまっているが、あまり人に顔を見られたくないサラは思わずそっぽを向いた。
「あぁ、あの紋章はやっぱりあんたの言う盗賊団で間違いない。5年前にあんたが頭領を捕まえた盗賊団だ。
その頭領は3ヶ月前に絞首刑になってる。」
「そうか...あいつは死んだのか...」
5年前、ほとんど魔物退治を専門としており、盗賊など気が進まなかったが、あまりに困っているからと渋々引き受けた仕事だった。
奴らを追い込んだとき、全員取っ捕まえても良かったが、頭領の男が上手いこと部下達を逃したうえで、頼みこんできたのだ。
「参った。あんたには敵わない。
最後に一つ頼みがある。
あいつらは見逃してやってくれないか。
どうせ俺が捕まればあいつらは頭を失って散り散りになる。」
悪党の言うことなんて。と思ったが、正直もうめんどくさかったのと、必死に頼む頭領の姿を見て見逃したのだった。
実際、頭領の男は大人しく捕まり、最後にサラと別れる際には
「ありがとよ。」
とまで言ってきたのだった。
「あんたが頭領を捕まえた後はしばらくおとなしかったんだが、その後No.2だった男が新しく頭になってからはより手広く始めて、今じゃ盗賊だけじゃなく、人を拐っての人身売買や危ない薬の垂れ流しとかいろいろやってるみたいだぜ。
団員も前より増えてる。
前の頭領が死刑になったのも見せしめだったのかもしれないな。」
(全然散り散りになってないし。)
サラはちらっと思い出した。