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銀剣士の憂鬱
第1章 知らない部屋

(良かった...
サラがここにいないということはきっと捕まってはいない。

今頃どうしてるだろう?
怪我は大丈夫だろうか?

...私がもっと強ければ、しっかりしていればこんなことにはならなかったのに...)


チェチェはこうなる前の出来事を思い返して後悔していた。


チェチェとサラが二人での旅を始めて、まもなく3年が経とうとしていた。

チェチェはサラに助けてもらった恩を返すために、常にサラのサポートをしていた。
魔術を使って傷を治し、魔物を倒す手助けをした。

しかし、チェチェの魔術には欠点があり、必要以上に消費してしまうと魔力が底をついてしまうのだ。


あの日も無理をしてしまった。


サラは剣士としてその名が知れ渡るほどの強さを持っていたが、その日は訳が違った。
なぜかやたらと連続で魔物が出現してきたのだ。

さすがのサラも疲れのためか一瞬の隙を見せた際に魔物に怪我を負わされた。

チェチェは思わず、回復の呪文を唱えつつ、攻撃の呪文も繰り広げ魔物に応戦した。
一度にいくつもの術を使えば魔力の消費が早いことは分かってはいたが、チェチェはサラの怪我を見て動揺したのだ。

魔物達を倒すことはできたが、チェチェの魔力は尽きていた。

その時、また一匹の大きな魔物が二人に襲いかかってきたのだ。

「チェチェは隠れてろっ!」

「姉様待って!」

怪我が完全には治っていなかったのにサラは魔物に向かっていった。

その直後、

ガンッ

急に後頭部を何者かに強打された。

チェチェは動揺のあまり、こっそり近づく人の気配に気づくことができなかった。

走っていくサラの後ろ姿を見ながら、チェチェはそのまま意識を失った。
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