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銀剣士の憂鬱
第2章 無惨な仕打ち
(せめて、魔力さえ戻ればこんな縄なんてなんてことないのに...)
チェチェは月の加護を受けて魔術を使うため、満月になればまた魔力も戻ってくるが、残念ながら次の満月は当分先だった。
チェチェがぼんやりと考えていると扉が開き、先ほどとは違う一人の男が入ってきた。
「さてと、実は俺らはあんたの連れに相当な貸しがあってな。それを返したいと思ってる。」
「かし?えっ…と貸し?
貸しということはあなたもあの人に何か恩のようなものが?」
チェチェは世間知らずだった。
「くくっ(笑)
おうよ。相当な恩よ。憎くて憎くて堪らないようなな。」
「憎い恩?えっ...どういう?」
ドコッ
チェチェは突然腹部を蹴られた。
「グハッ...」
痛みで思わず縮こまる。
「バカなこと言ってんじゃねぇよ。
俺達はこんな風に返してくって言ってんだよ。」
続けざまに二発、三発目を食らう。
「グッ...」
さすがのチェチェも状況を察知した。
「あいつへの恩を楽しく返してやろうじゃねぇか(笑)」
男は靴先で顔を上げさせた。
「サラは...サラは本当に捕まったんですか?」
チェチェは弱々しく聞いた。
「サラだぁ?あいつのことそんな女々しい呼び方してんのか(笑)
あいつも今頃は仲間が痛め付けてるとこだ。」
「...うそだ。
サラはここにはいない。」
(確か調べによると、こいつは魔術師だったっけな?
妙な術でも使って確認したのか?
まぁ、いいさ。)