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銀剣士の憂鬱
第12章 離れたくない
チェチェはサラが家を出た日の昼過ぎに目を覚ました。

「サラ...」

僧侶はチェチェが起きたことに気がつくと、薬を飲ませてくれた。


(サラ...?)


「今は大丈夫です。今日は少し起きていたいんです。」

術をかけて眠らせようとしてくれる僧侶の行為を断ると、僧侶が部屋から去ってから、キョキョロと周りを確認した。


(嫌な予感がする...
サラの荷物がない...)


チェチェは久々に感覚を研ぎ澄ませて、サラの気配を探した。


(この町にサラがいない!
どんどん離れてる!?)


部屋を出ると僧侶に確認した。

「サラはひょっとして私を置いて旅に出てしまったんですか!?
私のこと足手まといで、嫌いになってしまったんでしょうか??」

「いや、そんなことは全くない。
むしろあんたの幸せを願ってる。
もう、危険な目に合わせたくはないんだよ。

あの子が町を出てから半日は経つ。追っても間に合わん。

寂しいかもしれないが、身体を治すことを優先的に考えた方がいい。」

そう言うと僧侶はチェチェを寝かしつけようとした。

しかし、チェチェはさっと避けると

「サラを追います。ありがとうございました。」

そう言い残して、寝巻きのまま家を飛び出した。

「こら!まだ毒が抜けきってないのに無理をしちゃいかん!」

僧侶の声はチェチェには届かなかった。
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