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銀剣士の憂鬱
第12章 離れたくない
(サラ...サラっ!!)
チェチェはとにかく走っていた。
町を抜けて、森に入り、ひたすらにサラの気配を追った。
「あっちだ。」
(サラ...また会えなくなってしまうなんていやだ...)
順調に後を追い、
(あと2、3km !)
チェチェがそう思った瞬間、突然毒による発作がチェチェを襲った。
「ああっ!!」
身体が熱くなり、ガタガタと震え出した。
しばらくしゃがみこんで、身体の疼きに耐えていたが、一向に収まる気配はなかった。
そんな中、少しずつ周りの空気が変わろうとしていた。
空気が少しずつ淀み始めていた。
必死で苦しみに耐えるチェチェは徐々に魔物が忍び寄っていることに気がつかなかった。
(メスの匂いがする....)
それは大型の植物タイプの魔物で、他の生物のメスの体内に種子を植え込み、寄生させた宿主の栄養をもとに繁殖していく魔物だった。
寄生された宿主は3日ももたずミイラとなるたちの悪いタイプの魔物だった。
魔物は根っこのようなたくさんの蔓をうねうねと動かしながら、ゆっくりとチェチェへと近づいていった。
「う....ああっ!!」
チェチェは魔物の気配に気づけず、もがき苦しんでいた。
シュッ
一定の距離まで近づくと魔物は蔓を伸ばしてチェチェの足をつかみあげた。
「うわぁぁっっ!!」