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銀剣士の憂鬱
第13章 秘湯で


(びっくりした。
えっ!なにっ!?
どうすればいいの???)


どれだけ走ったのか分からなかったが、思わず思いっきり走ってしまい、川にたどり着いたところでやっと止まった。

胸のドキドキや身体の火照りが収まらない。
サラは生まれて初めて味わう感覚だった。

チェチェの気持ちや行動をどう受け止めればいいのか分からなかった。

サラはとにかくパニックになっていた。



そのため...
近づく黒い影に気付かなかった。


ヒュッ
ドカッ


(しまった!遅れたっ!)


サラは突然現れた魔物への対応が遅れ、襲われた瞬間に横に跳び跳ねたつもりだったが、右足に傷を負ってしまった。

振り返るとそこには巨大な熊のような魔物が牙をむき出しにして、今日の晩御飯と言わんばかりにこちらを狙っていた。


(しまった!
なんて迂闊なことをしたんだろっ!
まずいっ!
片足がうまく動かないけど、とにかく隙をついて逃げないとっ!)


サラは魔物から目線を離さないようにしながら、とにかくふいをつくために身体に巻いていたタオルをゆっくりと取り、ヒラリと投げた。
その一瞬魔物がそちらに反応した。

ダッ

その間に少しでも距離をおこうと、その場から離れようとしたが、怪我は思ったよりもひどく、足が自由には動かなかった。

ドカッ

「ぐっ...」

サラは魔物に投げ飛ばされ、背中から脇腹にかけて致命的な傷を負った。
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