この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
銀剣士の憂鬱
第14章 いい拾い物
「本当にあれが銀剣士か?
女だし、兄貴の間違いじゃねえの?」
「いや、会合の時に隣町を荒らしてた盗賊団を銀剣士が壊滅させたっていう話を聞いた。
この辺にいてもおかしくない。
持っている兜も鎧も噂に聞くものに似てる。
それに何より、銀剣士は誰もが見とれるような美少女を連れてるらしいじゃないか。
チェチェさんが何よりの証拠だろ。」
「瞬殺の銀剣士って言われるぐらい素早く動いて魔物を倒せるんだろ?
なんで、あんな大怪我してんだよ。
噂が嘘だったってことか。」
「そうかもな。噂は一人歩きするさ。
実際は女だったりもする訳だしな。
まぁ。どっちでもいい。
本物なら恩を売ったってことで、利用できるし、偽物ならあんなブス捨ててやりゃいい。
それよりも、
あんなに整った顔立ちの美少女は見たことがない。
いい拾い物をしたな。」
「俺は捨てるかもしれない女のためにわざわざ魔力使うのかよ。めんどくせぇ。」
「チェチェさんが心配してる。彼女を安心させるためにもお前はちゃんと治療しろ。
本物なら利用できるんだ。」
「結局、美味しいとこ取りは兄貴だもんなぁ。
まぁいいけどさ、時間もあるし、あのブスが銀剣士なのかどうかは確認してみるよ。」
「そう言うな。
うまくいけばお前にも貸してやるよ。」
屋敷の一室で兄弟はそんな会話を繰り広げていた。