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銀剣士の憂鬱
第14章 いい拾い物
サラが目を覚ましたのは屋敷に運ばれて、3日経ってからのことだった。
「ここは...?」
「ああ、気がつかれました?
ひどい出血でしたからね。何か食べられますか?」
「!???
いや、大丈夫!世話になった。すまない!」
サラはうっすら目を開けた先に、美青年がいることにえらく動揺した。
前の怪我のときに世話になった僧侶はお爺さんだったので、まぁいいか。程度だったが、若くてそれでいて顔の整っているような男性に顔を見られるのはサラとしてはとても嫌なことだった。
記憶を辿りながら、チェチェがどこからか人を連れてきたんだということを思い出した。
とにかく片手で顔を軽く隠しながら、サラは美青年に尋ねた。
「その...怪我を負ったところを助けていただいたみたいで、本当にすまなかった。
礼はきちんとさせてもらう。
えっと...もう大丈夫だと思うので、ご迷惑だろうし、もう行かせてもらう。
で...その...連れの者がいたはずだが...どこに???」
サラはとにかく早く立ち去ってしまいたかった。
ベットから起き上がろうとするサラを止めながら美青年は言った。
「動けるようになるにはあと2日はかかります。寝てて下さい。
とりあえず、チェチェさんを呼んできて、食事も持ってきますから。
僕は魔術師のランスです。
動くと治りかけた怪我がひどくなるから、大人しくしてて下さいね。」
「私は...サラだ。
すまない...」
そう言うとランスは部屋から出ていった。
美青年に名前を名乗ることなどないサラは緊張して、動けずにいた。