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銀剣士の憂鬱
第14章 いい拾い物
「チェチェさん、それは私が運びますから...」
「いいえ。これぐらい私がやります!」
しばらくして、サラの部屋に食事を持ったチェチェとランスともう一人の美青年が入ってきた。
(ああ、あのときチェチェが連れてきた人か。)
サラはぼんやりとその美青年を覚えていた。
「サラっ!良かった!」
チェチェは近くのテーブルに食事を置くとサラの側へと駆け寄った。
「チェチェ...
私の鞄を持ってきてもらいたい。」
「すぐ持ってきます!」
サラは嬉しそうに近づくチェチェをなだめつつも、二人の青年に改めて礼を言った。
「あのときは本当に困っていたところを助けていただいて、ありがとうございました。
えっと..」
サラは美青年を2人も前にして、とにかく気まずかった。
「私はこの屋敷の主の長男のクリスです。
元気になられて本当に良かった。
あいにく、父は仕事でこちらにはおりませんので、何かあれば私の方になんでも言ってください。
それから、自己紹介は済んだかもしれませんが、こちらは弟のランスです。
魔術の勉強をしていたので、ランスに治療をさせました。」
「私はサラ。
本当に世話になってしまって、申し訳なかった。
そうだな...」
チェチェから鞄を受けとると中から数個の宝石を取り出した。
「とりあえず、礼をさせて欲しい。」
「困ったときはお互い様ですから構いませんよ。」
断るクリスにサラは宝石を持つ腕を伸ばした。
「いや、また去るときにも礼をさせてもらいたいが、せっかくこんなに立派な食事を持ってきてもらったんだ。気兼ねなく美味しくいただきたいから、もらって欲しい。」
「...分かりました。あなたがそこまで言うなら受けとりましょう。」