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銀剣士の憂鬱
第14章 いい拾い物
「はい!姉様、口開けて!」
クリスとランスの去った部屋で、食事を食べさせようとするチェチェにサラは困惑していた。
というより、サラはチェチェに言いたいことも聞きたいことも山ほどあった。
でも、何よりも思うことがある。
(チェチェの顔を見ていたくない...)
「チェチェ...一人で食べられるから大丈夫だ。
とりあえず、あのとき命が助かったのはチェチェのおかげだ。ありがとう。
...でも、その...」
サラは言葉に詰まった。
チェチェはそんなサラを心配そうに覗き込んだ。
「いや、一人にさせてもらってもいいか?」
「なぜですか?」
「えっ!?
その...最近怪我を負ってばかりだし、自分的にもいろいろ考えたいし、頼む...」
「...分かりました。
でも、何かあったらすぐに呼んで下さいね。」
チェチェは少し不満そうだったが、大人しく部屋から出ていった。
「はぁ~...」
サラは誰もいなくなった部屋で大きなため息をついた。
(なんだあいつ...
秘湯であんなことしておいて、全然普通じゃないか!?
私はあの行為をどう受けとればいいんだ???
大体にしてバカ呼ばわりしてきたし。
あいつは顔が恵まれてるから、私の気持ちなんか分かんないんだ。)
サラはチェチェとの旅をしていく中で、
チェチェと一緒に若い男性の前にいるのにはどうしても慣れなかった。
兜をかぶり、面具で顔が見えない状況ならまだしも、顔が相手に見られている状況等とても耐えられなかった。
チェチェと比較されている気がして、惨めになるのだ。
クリスとランスが前にいるとき、顔を何かで隠したいぐらいに嫌だったが、なんとか気丈に振る舞えたことに安堵していた。
(チェチェがいい奴なのは分かってる。
それでも...)
サラは自分の顔に対して相当なコンプレックスを持っていた。
今はチェチェの顔を見たくなかったのだ。
それに相まってチェチェの奇行や自分のせいでチェチェがひどい凌辱を受けたことなどが頭の中でごちゃごちゃになり、サラは食事が手につかなかった。