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銀剣士の憂鬱
第15章 男性なら
「サラさん、少しお話があるのですが。」
「あぁ、私もだ。
チェチェ、花をありがとう。もういいから。
私のことは気にするな。お前はもう行け。」
「...はい。」
チェチェは少しシュンとして部屋から去っていった。
魔力さえあればサラの治療をするのは自分の役目なのに。そう思うとランスのことが恨めしかった。
(ちょっと言い方が冷たかったかな。
でも、私のこと気にしてクリスと一緒にいられないよりいいよな。)
チェチェの去った部屋でサラは少し心苦しかった。
「それで、話というのはですね。
サラさんは明日には動けると思うのですが...」
「えっ、あぁ、私もそのことだった。
迷惑をかけてしまったからな。早々に出ようと思う。」
「いえ、そのことですが、しばらくはこの屋敷に留まってはもらえませんか?
うちはそれなりの規模の商品流通の仕事をしています。サラさんのような名の通った剣士の方に警護の仕事をしてもらえるととても助かるんです。」
(無期限の雇われとかちょっと勘弁して欲しいな。
でも、世話になってるから断りにくいな。
どうしよう...)
「...そうか。
でも、せっかくの話しだが...」
「まぁ、今日のところはゆっくり休まれて、明日結論をくだされば結構ですよ。
それに動けるようにはなりますが、もしここを出られるなら用心して明後日にされた方がいい。」
ランスはそんなサラの気まずさを察知したのか、にこやかにそう言うと部屋から去っていった。
「やっぱり、直接的に言っても駄目だよな。
次の手にいくか。」
ランスは廊下に出てから、ぽつりと呟いた。
「はぁ~...」
誰もいなくなった部屋でサラは相変わらず、大きなため息をついた。
(人に頼るとこんな風に後々が面倒だから嫌だ。
でも、やりたくない仕事は嫌だからな。
やっぱり断って、ちゃんと礼をして、明日の昼過ぎには経とう。
...
チェチェは置いていくか。
あいつもクリスのこと気にいってるみたいだし。
なんかあいつの意味深な行為とかバカ呼ばわりしたとかいろいろ気になることもあるけど、ここは全部水に流して、あいつの幸せを祈ってやろう。)
サラはそう決心すると今日は美味しくいただこうと食事を食べ始めた。