この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
銀剣士の憂鬱
第15章 男性なら
翌日、チェチェはやっと貰った窓拭きの仕事に精を出していた。
「はぁ...
サラ...」
本当はサラのもとへと行きたいが、また出ていけと言われないかと心配なのだった。
「チェチェさん、少しは休んでティータイムでもしませんか?」
クリスが声をかけてきた。
たまにはいいか。とチェチェは仕事にきりをつけるとクリスの部屋へとついていった。
「サラさんの傷はだいぶ良くなりましたね。」
「はい。本当にありがとうございました。」
テーブルには美味しそうなクッキーが並び、良い香りのする紅茶を片手に2人は話を始めた。
「この紅茶はわざわざ遠い国から取り寄せているんですよ。そういうのができるのもうちの家業ぐらいですね。
チェチェさんは紅茶は好きですか?
良かったらお菓子も食べてくださいね。」
「はい。こんなにもご親切にしていただいてありがとうございます。」
「...チェチェさんは本当に謙虚ですね。
最初に私の前に現れたときもあなたはサラさんのためにと必死だった。
屋敷に来てからも、何かしたい。と一生懸命です。
本当にあなたみたいな女性は初めてです。」
「そうですか...」
「...将来のことを考えたりはしないですか?」
「将来?...えっと、姉様と一緒に旅を続けていきます。」
「...チェチェさんはそれで幸せなんですか?」
「えっ?もちろん。
姉様と一緒にいられれば幸せです。」
「でも、サラさんはどうなんでしょう?」
「...それはどういう..??」
「お二人とも女性ですからね。
結局、女性を幸せにするのは男性です。」
「男性...」
「サラさんも剣士として気丈に振る舞われているとは思いますが、心の底では男性に愛されて優しさに包まれたいと思っているはずです。
そして、あなたもね。」
そう言うと、クリスは手を伸ばしてチェチェの髪を撫でた。
少し動揺するかのように軽く下を向き、考え込むチェチェはなんとも可愛らしかった。