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銀剣士の憂鬱
第16章 魔物の相手
「やはり、日頃から鍛えられているからでしょうか。傷の治りが早いですね。」
ランスはサラに最後の癒しの術をかけていた。
「いや、あなたの術が良いのでしょう。
本当に世話になった。」
サラはこれで美青年に肌を見せなくて済むのだと思うと心の底から安堵した。
ランスは治療を終えると持ってきたティーセットにお茶の用意をした。
そんなランスを見ながらサラは気まずいながらも話を切り出した。
「昨日の話だが、一晩考えさせてもらったけれど、やはり断らせていただきたい。
私には旅をする方が性に合っている。
その代わり、きちんと礼はさせてもらう。
それから、まだチェチェには話していないが、あいつのことはクリスさんにお願いしたいと思ってる...」
「そうですか...」
ランスはサラにお茶を進めながら、話し出した。
「気づいていただきたかったのですが、引き留めたのは別の理由があるんです。」
「別の?チェチェのことではなく?」
サラは首を傾げた。
「僕がサラさんに残ってもらいたいと思っているんです。
まだ一緒にいたいと思うんです。
...僕はどうもあなたのことが好きになってしまったみたいです。」
そう言うとランスは顔を赤らめて軽く下を向いた。
「えっ!!!???」
サラは人生で初めての男性からの告白に動揺を隠しきれなかった。
「え、えっと...本気か!?!?」
サラはとりあえず落ち着こうとお茶を飲んだ。
「...はい。あなたのような強くてたくましい女性に憧れていました。
それに動揺しているあなたも可愛らしい。」
ランスはサラがお茶を飲んだことを確認すると一気にサラに近づいた。
身体を半分ベットに乗り上げて近づくランスに、サラはより動揺した。
(あれっ?
男性とこんな状況になるのは初めてだからか?
恥ずかしくて顔が熱いけど、それに加えてなんか頭がボッーとする...)
サラは動揺のあまりお茶に催眠効果のある薬が入っていたことに全く気が付かなかった。