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銀剣士の憂鬱
第16章 魔物の相手
(やっぱり、とりあえずサラに会おう♪
今日はまだサラの顔を見てないし。
それで、時期が近づいたらなんか言い訳して、いなくなって...)
チェチェは気分良くサラの部屋へと向かっていた。
扉の前に来ると、ピクリと中の空気を感じとった。
(ランスの位置がサラに近い...
私のサラにそれ以上近づくな...)
扉を開けようとすると中の会話が聞こえてきた。
「あなたは魅力的な人です。
私はあなたのことが好きなんです。」
(ランスがサラのことを好き??)
「えっと、それは、
その...男性からそんなこと言われるのは初めてで嬉しい。嬉しいけど...」
(嬉しい!?サラは嬉しいのかっ!?)
チェチェは扉の前で固まってしまった。
「あなたは今まで多くの魔物達と戦ってきた。
魔物の相手をするのは、もう疲れてるんじゃないですか。」
「...
そう...私は疲れてる...」
(魔物の相手...)
チェチェはもう部屋に入っていく気力が失せていた。
「ここにいれば、もうそんな日々とはさよならです。
ここに残りませんか?」
「ここに...いや、でも...」
(術のかかりが悪いな。
もっと動揺させてやらないと。しょうがない。)
ランスはサラに顔を近づけると強引に唇を奪った。
その瞬間、サラは秘湯でチェチェにキスをされたことを思い出し、チェチェのことを思い出すと同時に盗賊に凌辱され無残な姿にされたチェチェが目の前に現れた。
「チェチェっ!!」
サラは思わずランスを突き飛ばしていた。
チェチェは突然名前が呼ばれて、扉の前でビクリとした。
「ああっ!すまないっ!申し訳ないっ!」
サラは一瞬ハッとして、我に返るとベットから起き上がり、ランスを起こした。
「いえ...」
「本当に申し訳ないっ!
ただ、その、あなたの気持ちは嬉しいが、
以前、私のせいでチェチェを苦しめてしまったことがある。
私は今はそういうことは考えられない。」
(サラはあのことを気にしてるんだ。
ひょっとして...
私がいるとずっとそのことを思い出してサラは苦しんでしまうんじゃ...)
チェチェは静かにその場を後にした。