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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第2章 3歳児の憂鬱
酒癖・女癖・ギャンブル癖の3拍子揃った外面だけは良いヒモを抱えた、何の特殊技能も持たぬ三十路OL女。
旦那の3度目の浮気証拠を掴み、遂に堪忍袋の緒がぶち切れ、
「仏の顔は3度までじゃっ このぼけぇ~~っ!!」
と、初心キャラぶち壊しで離婚を切り出すも、揉み合っている内に倒れ テーブルの角に後頭部を強打。
打ちどころ悪く、呆気無くご臨終。
武田 佳奈(旧姓・花本)
享年30歳。
(-人-)<南無妙法蓮華経 by日蓮宗
それから色々あり(はしょり過ぎ)
せっかく人間に生まれ変われたと思いきや、シングルマザーのウクライナ美女(父は日本人らしい)の子として輪廻転生し。
しかも唯一の肉親である母は、男癖が悪く 少々ネグレクト気味だった。
(いや、でも。ここまで五体満足に育ててくれただけ、充分感謝しておりますです)
樹海か東京湾にいる筈の母に心の中で両手を合わし黙祷するも、釈然としないものが残るのも事実。
だってさ~。
だってさ、どうせならねえ~?
前世の記憶を持ちながら輪廻転生するなんて、常識外な現実を体感している身としては、やはり思ってしまうのだ。
どうせ前世から現世に生まれ変わるなら、
あわよくば異世界に飛ばされて。
怪獣や魔王相手に口から火を吹いたり、指先からビーム出したり――な、
超・現実離れしたチート能力が欲しかったわww
(幻の秘宝を求めて仲間と旅を続け、その末にどこかの王女様を助け出し、英雄と湛えられて富も名誉も手にするとかさあ~?)
そんな理想に比べ、現実のひ弱な幼女たる自分に、ココは丸っこい背を更に丸っこくして項垂れる。
前世の自分は大人しく従順で、特に旦那の言いなりだった。
だからココは、もう他人の言動に振り回され、自分の行く末を決めたくないのだ。