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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第3章 4歳児とプー太郎(もどき)
◇◇◇
2人が揃って迎えた2度目のクリスマス。
御手洗家・当主の龍一郎は、めでたく20歳となり成人を迎えた。
皆でクリスマス 兼 誕生日の、贅を尽くした食卓を囲み。
「俺はもう成人したんだから、皆これからは「坊ちゃん」と呼ばないように!」
そう得意気に宣言した龍一郎に、山田とツバサと鬼瓦は「分かりました」と納得した。
にも関わらず。
数分後には「坊ちゃん」呼びされ、
「なに~?」と普通に応じてしまった主に、皆は腹を抱えて笑った。
腹も満たされ、ダイニングルームから2階の共用リビングに移動したココと龍一郎。
パチパチと薪が爆ぜる暖かな暖炉の前。
モロッコ絨毯に ぺたりと座り込んだ2人は、クリスマス恒例のプレゼント交換をする事にした。
すぐ傍に飾られた大きなクリスマスツリー。
その根元を埋め尽くす大小様々なボックスは、大人4人から子供のココへのプレゼントだった。
航空機オタクのツバサからは、指先に乗るほど驚異的に小さなラジコンヘリ。
料理人の鬼瓦からは、子供用の可愛らしいエプロン。
義父の山田からは、図鑑一式20冊。
それぞれの性格が色濃く現れたプレゼントは面白く。
更には、それらが自分の事を思い浮かべながら選んで貰えたものだと思うと、
感謝の気持ちと嬉しさで、思わず顔がにやけてしまった。
「ココはプレゼント、大好きだな~?」
ニッコニッコの4歳児が包装紙をサル剥きする様子を、ワイングラス片手に見守っていた龍一郎が からかってくる。
「クリスマス と 誕生日 に貰えるプレゼント “は” 好きです」
言外に「毎度毎度 出掛ける度に、プレゼント買い込んでくんでねえ」と滲ませたココにも、相手は全く気付かぬ様子。
ちなみに、龍一郎からのクリスマスプレゼントは、子供用自転車(補助輪付き)。
もちろん、ココから「プレゼントはこれでお願いします」と提案したものだった。
(でないと、いつもの様にドレスを贈られそうだったからね……。もうクローゼットに入らんっての)