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春うらら
第16章 それぞれの週末~武志・カリン~
カリンは終始、笑顔で宿題をしていた。
明らかにいつもよりも早く終わり、音読を始めたころ玄関のインターフォンが鳴った。
モニターに映ったのは知らない男。
明らかに営業目的ではない綺麗な顔をした、綺麗な・・・ん?
「麗ちゃん?お兄さんが迎えに来てるかも?」
そう、モニターに映った男性は麗ちゃんによく似ていた。
「はい、今開けます。」とモニターに向けて声をかけて玄関に向かう。
麗ちゃんはスマホを開いて首を傾げている。
玄関を開けると、確かに麗ちゃんによく似た男性が立っていた。
「初めまして、麗を迎えに来ました。兄の雅(まさ)といいます。」
ととても人懐こい笑顔で頭を下げる。
「初めまして、本田武志です。今、娘の宿題に付き合ってもらっていて・・・カリンもう終わるぅ?」
大きな声でリビングに向けて声をかけるとルイがリビングから出てきた。
「初めまして、片山ルイです。もう少しで終わるみたいです、上がって待たれますか?」
「いやいや、ここで待たせてもらいます。今日は本当にお世話になりました。兄の慶が伺う予定でしたが、急に仕事が入りましたので代わりに迎えに来ました。」
リビングから二人分のスリッパの足音がする。