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春うらら
第17章 麗の過去 中学時代
女将さんはさっと両者に目を向けて全体に頭を下げて麗の前に進み出た。
下を向いてすねている麗の頬を撫でて上を向かせると・・・
「あらあら、可愛い顔が台無し・・・でも、仕返ししてないのね?」
と優しく声をかけた。麗は涙をためてうんうんと頷くと女将さんに抱きついた。女将さんはよしよしと頭を撫で怪我をしているおでこを避けて頬にキスをした。
「じゃ、雅と郡司君が来ているから一緒に病院に行って頂戴。警察の人が連れて行ってくれるから、帰りは将ちゃんに迎えに行ってもらうから病院が終わる前に電話するのよ。」
麗は頬を涙で汚しながらよろよろと立ちあがる、郡司が慌てて駆け寄り、腰に腕を添えて支えた。
「雅、麗の鞄持って来いよ。」
「ああ・・・」
3人で控室を出ると若い警察官が病院まで送ってくれた。

麗の診察が終わるまで病院の待合でに座る。
「郡司、悪かったな。俺いるからお前帰ってもいいぞ。」
「・・・嫌だよ、俺来春には『向こう』に行くのに、麗と過ごす時間が欲しい。お前こそ帰っていいぞ、お義兄ちゃん。」
「なんだよそれ、本気?あんな気の強い我がままがいいの?」
「麗は我がままじゃねーよ。気は強いけど・・・でも真っすぐで、優しい。」
そこで会話が少し途切れた。

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