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春うらら
第18章 18 麗の過去 高校時代
翌日の土曜日、俺は昼過ぎに起きてリビングに行くと誰もいなかった。ああ、麗は池田君とデートかな?
特に予定もなかったので撮りためていたドラマを見たり、読みかけの本を読んだりとリビングでかなり充実した自分の時間を過ごした。
夕方、郡司からGWの帰省予定は後半5月に入ってからとメールが来た。
正直、本当に帰って来るんだなぁと思いながらちょっと切なくメールを眺め、返信に迷っていたら玄関のドアが開いて麗の帰ってきた気配がした。
どうした?部屋へ行くにはリビングを通過する必要があるのに、リビングのドアが開かない・・・洗面所か?にしても廊下を歩く音もしない・・・不思議に思いながらリビングのドアを開けて玄関へ行くと玄関口に座りこんで壁にもたれて俯いている麗が見えた。
「どうした?麗、今日、静香に行く日だった?」
お客様の状況などによって、麗は静香に行き仕事を教えてもらう。もちろん将来を見越しての修行のようなもので帰ってきたときは今日のように脱力して座り込んでいる事が多い。
「予約が多かったの?・・・忙しかった?」と声をかけながら麗の肩を揺すると、ぼんやりした顔の麗が振り向いた。
「ううん、今日は朗さんと一緒だったよ。」
「そうか、随分疲れているみたいだから・・・大丈夫?夕食まで休んでおく?それとも先にお風呂に入ってしまう?」
すると麗は「うん、準備して先にお風呂入ってしまうね。ありがとう」と言ってお風呂に向かって行ってしまった。