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春うらら
第18章 18 麗の過去 高校時代

ピンポーン

朗さんの家はうちからバスで10分ほどの住宅街。
迎えに来ると譲らなかった朗さんだが、頼んでいたお兄さんが急に出掛けてしまったと申し訳なさそうに電話がかかって来た。
私としてはバスで行くつもりだったし、初めて家に行くのにご家族の手を煩わせる事に抵抗があったから結果的には良かったんだけど・・・

にしても大きな家・・・
もう一度呼び鈴を鳴らすか迷っていると玄関の扉が内側から開いた。

「いらっしゃい、麗。来てくれてありがとう。」
笑顔の朗さんが迎えてくれた。
「お招きありがとうございます。これ、ご家族の方に・・・お留守ですか?」
もってきた、和菓子の箱を差し出しながら伺った時に、奥の方でスリッパの音がした気がしたが、朗さんから「どうぞ」と促され二階にあるお部屋に案内された。朗さんは飲み物を準備してくると言ってそのまま階下行ってしまった。

朗さんの部屋は壁に大きなテレビがかけてあり、真ん中にゆったりとしたソファーが設置してあった。そのテレビの大きさやソファーに驚いたが、部屋のベッドの上に学校で見かけるジャケットがかけてあったり机の上に読みかけの本が開いていたり、生活感があってほっとした。外から見た豪邸感から必要以上に緊張していたが、ここは確かに朗さんの雰囲気の部屋だった。そしてこの匂い・・・落ち着く・・・

部屋に入ってすぐの所で立ち尽くしていると、朗さんが飲み物をトレーに乗せて戻って来た。
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