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春うらら
第10章 麗とルイ
・・・にしても、突然「病気」だ、必ず見舞いに来い。だなんて…病んでる本人が電話してきてる時点で『仮病』じゃねぇか…
一旦、自宅に戻り、部屋に鞄を置くと近所のじいちゃんの家へ向かって歩き出す。
じいちゃんは近所では割と有名な会社の会長だ。最近やっと俺の親父に代を譲って隠居したかと思っていたが、まだまだ『会長』としての顔が必要でなんだかんだと会社に顔を出している。資産とか結構あるから、周りからみると俺は『ぼんぼん』らしい。
まぁ生まれたときからこの環境だから俺自身には普通だ。
近所と言っても同じ敷地内にあるので、庭を歩いて横切っていく。
そんなに無茶言う人じゃないだけに、実は本当に病気だったりして…と少し心配しながら歩いてるとじいちゃん家の前で従妹の武志さんと会って一緒に入る。
武志さんは父さんの妹の息子で独身なのに『娘』がいる。学生時代に子連れの女の人と大恋愛をして結婚しようとしたらしい。でもその人は実は結婚詐欺師で娘のカリンを捨てて居なくなった。でも調べが進むとカリンは隣県の施設から行方不明になっていた子供だった。周りの大人が施設に戻そうとしたところを武志さんが引き取った。今では本当の親子のように仲がいい。