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オオカミ君のホンネ
第22章 君の為なら
「…なにがあった?」
「ひぃぃ…嫌だぁぁ…恐い…恐いよぉ……」
さっきからこれの繰り返しでなにも話そうとはしない。
も、いいや…。
「……夏亜…もう、いい……話さなくていいから。俺のこと、義兄さんって呼ぶな。俺はもうお前のこと義弟とは思えない……。」
コイツのせいでトラウマは増えるし、ぶり返した。おかげで、ここしばらくは女や見知らぬ男に話し掛けられたら返事が出来なくなりそうだ。
…バタン……
扉を閉めて廊下にへたり込む。
こんな気持ち何時ぶりだろうか…
なんだか…とても複雑で、悲しくて………こう……モヤモヤする感じ…。
穣は…一体何した?
きっと頭はガラスで切ったんだろう。
…でも、それしか思いつかない。
「………穣。」
…いつも俺が助けてたのに…
今度は俺が助けられるようになっちゃったね。
…あの時はそうだった。
泣いてた穣に声を掛けたんだっけな……
『…ありがとう!僕、君の為ならなんでもするよ!!』
『君の為なら』……か………………