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Blindfold
第8章 本当の姿


幾度となく身体は重ねたのに




唇だけは重ねなかった。




だから


はじめて知った彼の唇の温度。




心臓が飛び出てしまいそうなほど激しく高鳴って、身体が熱い──




「ぁっ…んっ……ん…」



舌が絡んで、


それだけでじわりじわり体温が上昇していくのを感じる。


唾液の絡む音…


激しく貪られて、私はぼんやりしながらかずにぃから顔を離した。



つー…と、私の唇から唾液の糸が繋がる。



はぁと息を漏らしながら、かずにぃを再び見下ろすと、虚ろな目をして私を眺めていた。




「桜………」





呼ばれたのは私の名前。




それだけなのに胸が震えて、何とも言えない満足感が私を包み込んだ。




呼んでもらえた……




やっと……




かずにぃは手を伸ばして私の頬に触れる。




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