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Blindfold
第9章 本物
もう何度も抱き締められているのに
今日は何だか違った感触だった。
何が起こっているのか、未だに分からないまま、ただ黙って店長に身体を預けている。
「聞いてらんねぇよもう……」
「─────……」
「限界だ…」
苦しそうに呟いた店長の声が振動となって身体に響く。
「………あのっ……───」
ようやく声のようなものを発した。
身体を離した店長は、真剣な眼で私を見つめた。
ドキドキと心臓がうるさくて、どこを見たらいいんだか、分からない。
何が……起こったのだろう…
なぜ
私は
店長に、キスをされたんだろう…っ
混乱して、
いてもいられなくて、
私は店長の胸を押し退けた。
「桜っ………」
店を飛び出す時に、カラン…という鈴の音と、店長の声が耳に入った。