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Blindfold
第11章 正体
「うん……分かった」
そういいながら、お姉ちゃんはベッドの脇にあるティッシュの箱を掴んだ。
「ほら、これ」
「っ……ありがと」
鼻をすすりながら、それを受け取る。
ティッシュで涙を拭いていると、お姉ちゃんが微笑んだ。
「やっぱり、桜だね」
「え?」
ゴミ箱を探して、ティッシュを放り込む。
「昨日は別人みたいって思ったんだけど…やっぱり桜だった」
すぅと言葉が染み入った。
そして、カバンを持って、扉の方へ歩く。
「そうだよ──」
扉の前で再びお姉ちゃんの方を向き直ると、さきほど拭いきれなかった涙が飛んだ。
「私は…」
私は…───────