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Blindfold
第12章 風
「ありがとうございました」
背後からそう声を掛けられながら、私は首元を触った。
頭が軽くて、風が首に当たる。
心が少しだけ弾んでいるのが分かった。
これから病院に行く。
また店長とお姉ちゃんのお見舞いに行って…
ショーウィンドーに映った、髪の短い自分の姿。
信号待ちの時間、じっとその姿を見つめながら、再び毛先を触った。
なんて、言われるだろうか…
思い浮かべようとした人物にハッとして、頭を振る。
気付いたら、青信号が点滅していて、走って横断歩道を渡った。
徐々に…
本当に少しずつ、私は自分を取り戻しつつある。
まだかずにぃと二人で話せてないけど、お姉ちゃんが目覚めてからの幸せな姿を見ていると、もう蒸し返す必要はないんじゃないか、という気がしている。