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Blindfold
第12章 風

「そろそろ、薫のところに行こうかな」
そういって、立ち去ろうとしたかずにぃは、再び私の背後に目をやって、微笑んだ。
「どーも。桜の義理の兄の和明って言います」
私の隣にきた店長にかずにぃは軽く会釈をしながら挨拶をした。
店長はその挨拶を返さない。
その様子をかずにぃは不思議そうしていたが、すぐにまた微笑みを見せた。
「あの……桜をどうぞよろしく」
本当、鈍感て言われるだけある。
全部無意識。
だから責める余地を私に与えてくれない。
私の恋は、終わったんだ───
虚しくなって、地面を見つめた。
何年間…
いや、何十年無駄にしたんだろう…
ジワリと目に涙が溜まっていく。
いやだっ……
泣く訳もんか。
私はもう十分泣いたし
こんなの悔しすぎる────

