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Blindfold
第13章 つぼみ
「そうですね」
「……あぁ」
「いつも……心配してくれて、ありがとうございます」
突然出来た私と店長の境界線。
いや…と返事をする店長を見つめながら、落ち込んでいる自分が面白くて笑ってしまいそうになった。
こういうタイミングで、自分の気持ちに気付く私は、本当に大バカだ。
「もう、疲れましたし…早く閉めましょ」
「……そうだな」
テーブルを拭いて、そしてお皿を洗って…
苦しいと感じたけれど、涙が溢れるほどではなかった。
良かったじゃない?
深入りする前で。
こんな傷、全然浅い。
そんなことを思いながら、私は芽吹こうとしていた心の中のつぼみを、静かにもぎ取った。