この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Blindfold
第14章 自立
引き出しを開けて、中に何も入っていないことを確認する。
使用感のない部屋。
もう2年も使っていたとは思えない。
「忘れ物、もうないね」
「ありがと」
笑ったお姉ちゃんの車イスを掴む。
ついに今日はお姉ちゃんの退院の日。
長い間通いつめたこの病院と、離れる日が来た。
「寂しくなったりしないの?」
「しないよ。だって、私からしたら、1週間もいなかったみたいな感覚なんだから」
「そっか」
明るくそう言うお姉ちゃん。
確かに、眠っていたお姉ちゃんよりも、幾度となくここに通っていた私の方が思い出は深いかもしれない。