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Blindfold
第14章 自立
「実はね。和明と話して、遠くに引っ越すことにしたの」
声は出さず、私は仕切りに頷いた。
「これでいいよね…」
不安そうなお姉ちゃんの問いかけ。
「うん……」
頷きながらお姉ちゃんの側による。
「私たちはこうしなきゃいけない…っ」
「…うん…っ…」
声を上げて泣き始めたお姉ちゃんを見ながら、私は微笑んだ。
そして、自分の頰にも涙が流れていることに気付く。
「お姉ちゃん……っ」
しゃがみ込んで、車椅子に座るお姉ちゃんに抱き着いた。
その身体は細くて、でも柔らかくて温かい。
嫌いになりたくない。
そのためには離れなくてはならない。
これが、同じ人を愛してしまった、私とお姉ちゃんの運命。
「……たまには…会いにきてっ……」
絞り出すようにそういうと、お姉ちゃんが顔を上げた。
「桜っ……大好きよ……」
ああ。
本当にお姉ちゃんの妹でよかった……
「私もっ……」
辛い時間を重ねたそこで、私たち姉妹はしばらくそうして時間を過ごした。