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Blindfold
第15章 花言葉
何度も人にぶつかりそうになりながら、私は町を駆け抜けた。
身体が軽くて、どこまでも行けそう。
新しい自分の世界の幕開け。
お姉ちゃんと別れて、私はかずにぃに会う事なく、病院を飛び出した。
もうしがらみはない。
足はもつれることなく、前へ前へと私の身体を運ぶ。
切ないけれど、でも何よりも晴れやかなこの気持ち。
そしてそれを一番に伝えたい人──
もぎ取ったはずのつぼみが、息を吹き返す。
今なら…
そんな期待を自分自身に抱いて、私はひたすらに走っていた。
「はぁっ……」
もう何度駆け込んだか分からないそこの扉を私は息を整えながら見つめる。
そして、手前の花壇には、あの植物がつぼみを作っていた。