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Blindfold
第15章 花言葉
「店入ろうと思ったけど、やっぱ花見ると血が騒いじゃってさ」
「あぁ……」
実家がお花屋さんだと、そういうものなのだろうか。
なんとなく、まだお店に入る気分ではなくて、私は拓也さんの隣にしゃがみ込んだ。
「綺麗ですね…」
植物は詳しくない。
でもここの花壇は、いつもしっかり手入れされていて、枯れているのはもちろん見たことないし、どんなに天気が荒れた次の日でも乱れていることすらない。
「やっぱ、性格出るよなぁ。俺だったらこういう花壇にはしないし」
「そうなんですか……?」
「うん。花の種類も、並べ方も、育て方も…ある程度ルールはあるけど、でもやっぱり人柄みたいのが出るよ」
そういって拓也さんは、楽しそうに優しくお花を触る。
人柄が出るというのなら、拓也さんはこの花壇から、どんな人柄を感じているのだろう。
何も分からないけれど、ただ見ているだけで癒される。
不思議な力を感じながら、植物たちを見つめた。