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Blindfold
第16章 この恋に気付いて


「その顔たまんねぇ」



ギュッと私を抱き締めた店長は耳元で囁く。


低い声が身体に染み渡って私の中をいっぱいにした。




「その顔ってなんですかっ…」



「……唇、塞ぎたくなる顔」



「っ…んっ──」



照れる暇もないまま、再び唇を塞がれて私は目を閉じた。



これがキスなのだとしたら、今までのはなんだったんだろうか。



そんな考えが浮かんでしまうほど、蕩けそうな初めての感覚。


顔を交差しながら、躊躇いがちに開いた唇の中に素早く店長の舌が入り込んできて、溶け合った。



「……っ…んっ…」




吐息が漏れ出して、鼓膜を刺激する。



身体はすでに力が入らない。



何とか店長のワイシャツを握りしめ、ドアに寄りかかりながら立っていると、脇のノブが音を立てた。






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