この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Blindfold
第16章 この恋に気付いて
知らぬ間に開店時間を10分も過ぎている。
うそ……
驚きと恥ずかしさから、私は顔を押さえた。
「あの……?」
「あっ…ごめんなさいっ……!今すぐ──」
開けます、と答えようとしたのを店長が阻んだ。
「すみませんお客さん、今日は臨時休業です」
「え……?」
臨時休業?
「──そうですか」
関根さんと呼ばれた彼は、驚くでもなく微かに笑った。
「すみませんね」
「いえいえ。また来ます」
そう店長に答えると、彼は私の方へ視線を移した。
「では、“ごゆっくり”」
「………はい…?」
クルリと振り返った彼は、行くぞ酒田!と七三の彼の肩を叩く。
「臨時休業だなんて、関根さん、今日はついてないですねぇ」
「なんだその言い方は」
「いや、だって……ねぇ?」
「真希さんが無事だったんだ。それだけで今日は呼ばらしい日だよ」
「またかっこいい事言っちゃって」
そう会話して去っていく二人の背中を見つめる。
人違いだったのだろうか…。
不思議に思いながら、店長に腕を引っ張られてお店の中に入った。