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Blindfold
第16章 この恋に気付いて
「あの時のっ……」
思わず声を上げるが、彼は不思議そうに首を傾げている。
「以前お会いしましたでしょうか…?」
丁寧な物言い。
そして、しっかりと視線が合っている。
見えている──
あの時ステッキを持っていた彼は、見えていなかったはず。
人違いだろうか…?でも、こんなにも整った顔の人が他にもいるだろうか。
疑問に思っていると、背の高い彼の後ろから、ひょこっと小さな男性が顔を出した。
「どうです?入れそうですか、関根さん」
髪は七三に撫で付けられている。
小さな人だと思ったが、関根さんと呼ばれた彼の背が高いだけで、一般男性としてはそんなに低い方ではないのかもしれない。
とにかく、拓也さんの様に顔がかわいらしいから、その表情と髪型がマッチしていなくてそれがどことなく面白い。
「開店時間を過ぎていたようだし、看板も出ていなかったから、扉を開いたのですが……まだ準備中でしょうか?」
「「えっ…」」
彼の問い掛けに、私と店長が異口同音した。
同時に店内の時計に目をやって息を飲んだ。