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Blindfold
第23章 夢
自暴自棄になって、暴走しそうになる自分を鎮める。
惨めで、バカらしくて、消えてしまいたい。
前の私だったら、きっとヤケを起こして誰でもいいから一緒にいてくれる……まぁつまりはヤりたがってる男を探していたかもしれない。
でも、
もう、誰でも良くない……んだよな…。
こうなっているのもその人のせいかと思ったら、堂々巡りで、救いようがない。
こういう時、頼る友だちも浮かばないっていうのが良くないのは自分でも分かってる。
そんな私が自然と向かった場所はネオン輝く街。
実は初めて行く店だし、20代の女が一人行く場所じゃないんだろうけど。
「あった……」
“radice”(ラディーチェ)の文字を見つめて、扉を開く。
そして、目の前に広がった知らない夜の世界に、思わず息飲んだ。
いらっしゃいませー!と男の人の声が響く。
聞き覚えがある。
少しバツが悪くなって俯き加減でいると、案の定目の前のベテランボーイさんは、アレっ!?と声を上げた。
「桜ちゃん……!?」
「こんばんは…」
相変わらず口元には、少しヒゲが生えているけど、やはり童顔なのは隠せていない。
言われれば店長にどことなく似ている程度……
そう、彼は店長のお兄さんの拓也さん、だ。
「どうしたの? 達也は? 一緒じゃないの?」
達也の名前に、何もいうことができなくなって押し黙る。
そんな私に拓也さんは首を捻っていると、その後ろから、妖艶な雰囲気を纏った女性が現れた。