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Blindfold
第23章 夢
「やだーー! 桜ちゃんじゃなーい!遊びに来てくれたの!?」
「幸(さち)さん……」
相変わらず綺麗なこの人は、この店radiceのオーナー。そして、店長と旧知の間柄らしく、Blindfoldの常連でもある。
じぃーっと、私の顔を観察した幸さんは、私の背後を確認して、ふぅん……と唸りながら顎に手を当てた。
「達也となんかあったわね……」
びくりとして私は思わず目元に触れた。
泣いたのがバレた…?
それでもなくても、幸さんは、とんでも無く勘が良いから、私の態度で分かってしまったのかもしれない。
「……なんか……自分でも、色々訳が分からなくて……」
「達也も、変なところで鈍感な男だしねぇ……」
全てを悟ったような幸さんの言葉を聞きながら、拓也さんがええ!?と声を上げてる。
「そうですかね? 我が弟ながら、あいつは昔から察しがいいやつだと思ってましたけど」
「そりゃあなたからすれば誰でも察しが良いわよ」
呆れた幸さんの物言いに、拓也さんは納得いっていないのか、こめかみをぽりぽりと掻いている。
とにかく、と私の肩に手を置いた幸さんは、にこりと微笑みを向ける。
「せっかく来てくれたんだし、お酒飲みながらお話聞かせて」
「ありがとう……ございます…」
ホッと胸を撫で下ろして私は幸さんの後について行った。
ここは幸さんの経営する、キャバクラ。
男の人たちが楽しむためのここが駆け込み寺なのもどうか、と思うけど……。