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Blindfold
第23章 夢
頬がひんやりとして、私はゆっくりと目を押し開いた。
目に入り込んできた光が眩しくて、思わず腕を上げてその光を遮る。
そして、一緒に見えたシルエットに、胸が熱くなった。
どうやら、私はベッドに寝ているようだ。
視界がじんわりと狭まって、体が熱い。
「大丈夫か………?」
優しい声音に心地良くなって、手を伸ばす。
あぁ……店長……だ。
でも何で……?
それが分からない。
それでも、ここにいたいと強く願う気持ちだけが自分の中にある。
この感覚は知ってる……。
望んでいる人が目の前にいて…
居心地が良くて…─────
そうか……
私は夢を見ているんだ─────……
上体を起こそうとするにも、うまく力が入らないのも、とても夢らしい。
そんな中、店長が私の体を支えて上体を起こしてくれた。
「桜……」
真っ直ぐな瞳。
少し心配そうにしているのが分かると切なさが駆け巡った。
「ば…かっ………」
夢の中ですらうまく言葉にならない。
挙句想いが溢れて涙が出てきた。
「おい……何泣いてんだよ」
「だってっ……」
店長のシャツをぎゅっと掴む。
止めどなく流れる涙はもはや自分の力で止めることができない。