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Blindfold
第23章 夢

時間が経った。


でも、どれくらい経ったかは分からない。


瞼が、次第に重くなっていく。


さくらちゃーーん?と幸さんの声が遠くで響く。



頭がぐわんぐわんと揺れ動いていて、現実なのかよく分からない。


アレ…私、なんで幸さんのところ来たんだったっけ……?


訳が分からない状態で、ふぅーと息を吐きながら目を瞑る。


そうしてる方が楽で、何ならもうこのままがいいとさえ思う。


そんな時、不意にふわりとタバコの匂いに包まれた。



温かくて、落ち着く。



「帰るぞ」



店長………?


薄く目を開けると、ボヤけた視界の先に顔が見える。


あー……きっと店長だ。


夢見心地で、店長の腕を掴む。



黒い少し長い髪が揺れる。

口元に生やしたヒゲも拓也さんよりもその見た目に馴染んでて、かっこよさを引き立てる。


おまけに高身長でガタイもよくて。



あぁ………


ほんとにムカつく……───



「………分かったから、ほら」



何が分かったというのか。


はっきり言って、あなたは何も分かってない。


だから私は……。


自分が今どういう状態なのか分からない。


重たい瞼を再びあげるのが困難で、億劫だ。


そもそもなんで店長が……?


何も分からないまま私は考えることをやめていた。
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