この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Blindfold
第23章 夢
時間が経った。
でも、どれくらい経ったかは分からない。
瞼が、次第に重くなっていく。
さくらちゃーーん?と幸さんの声が遠くで響く。
頭がぐわんぐわんと揺れ動いていて、現実なのかよく分からない。
アレ…私、なんで幸さんのところ来たんだったっけ……?
訳が分からない状態で、ふぅーと息を吐きながら目を瞑る。
そうしてる方が楽で、何ならもうこのままがいいとさえ思う。
そんな時、不意にふわりとタバコの匂いに包まれた。
温かくて、落ち着く。
「帰るぞ」
店長………?
薄く目を開けると、ボヤけた視界の先に顔が見える。
あー……きっと店長だ。
夢見心地で、店長の腕を掴む。
黒い少し長い髪が揺れる。
口元に生やしたヒゲも拓也さんよりもその見た目に馴染んでて、かっこよさを引き立てる。
おまけに高身長でガタイもよくて。
あぁ………
ほんとにムカつく……───
「………分かったから、ほら」
何が分かったというのか。
はっきり言って、あなたは何も分かってない。
だから私は……。
自分が今どういう状態なのか分からない。
重たい瞼を再びあげるのが困難で、億劫だ。
そもそもなんで店長が……?
何も分からないまま私は考えることをやめていた。