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Blindfold
第23章 夢
私の後頭部に手を添えた店長は、私に合わせて舌を絡ませてくる。
それが心地いいのと同時に、もっと自分のことを見て欲しくて堪らない。
「さくらっ……」
切なく名前を呼ばれて、気持ちが堰を切ったように溢れ出した。
「優しいのはっ……私に対してだけでいいの…!」
他の人にも同じだけ優しいなんて…。
「わたしだけに……優しくしてっ……」
私だけの優しさじゃないのなら、いらないとさえ思ってしまう。
店長は、私の頬に手を添えると、親指で私の涙を拭った。
「分かった」
「分かってない!」
こんなのまだ序の口だ。
伝えたいことは山ほどある。
目が覚めた時に、アレも言っておけばよかった、なんて思わないように、この夢の中で不安は曝け出すって決めたんだ。
「どれだけモテるのかとか、知らないけどっ……!でもっ…」
「……バカか……こんなオヤジがモテるわけ──」
「───モテるのっ…!自覚ないみたいだけど店長はかっこいいのっ……っ…店長目当てでお店来る人もいるし…!でも」
でも、そんなのは関係ない。
「でもっ……私絶対……誰にも……誰にも渡さないからっ……」
ぐわんと、周りの景色が歪む。それでも、まだ言いたくて、店長を見つめる。