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Blindfold
第23章 夢

「私……っ……がんばるっ……から」


私の努力が足りなくて……

だから葵を雇ったっていうなら、もっと私が頑張ればいいだけのこと。

この人の世話にばっかなっていないで、私も役立って……


それで……



「だから……っ…」


「それじゃあ意味ねぇだろうが」



ぎゅっと強く抱きすくめられて、目を見開く。




意味がない……?ってどういうこと?


夢の中ですら、彼が何を思っているのかが分からないのがもどかしい。



「意味が分かんないっ……」



体を無理矢理に離そうとするのを店長は拒むようにさらに強く抱きしめてきた。




「頑張らせたくねぇんだよ」


「………なんでよ…」


「なんでって……。そりゃ……」




ようやく力を弱めてくれた店長は切なげに目を細める。

そして、私の頬に手を添えると、そのままその精悍な顔を近付けて優しく私の唇を塞いだ。


ゾクゾクと体が震える。


好きな人からのキスがこんなに気持ちいいということをこの人と付き合い始めてから知った。


さっきまで苦しくて流れていた涙が、快感から流れる涙へと変わっていく。


すごくリアルな夢だ……


温度といい、感覚といい。



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