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Blindfold
第3章 お店
仕事着であるワイシャツを着た私は、腕まくりをして流しで手を洗った。
冷たい
そんな当たり前でどうでもいいことを思う。
「桜」
「……はい」
店長に呼ばれて、私はハッとして振り返った。
いつも通りのくわえ煙草。
それを傍にあった灰皿でもみ消すと、私の顔を覗き込んだ。
「大丈夫か」
「え?」
「なんかあったんだろ」
微かに煙草の匂いが鼻を掠める。
「大丈夫です」
目線を外しながらそう答えると、ふんと息を吐いて、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「やめてくださいっ…!」
乱れた髪を整えて店長のことを見上げると、店長は優しく微笑んだ。