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Blindfold
第24章 飼い主

スッと顎を掴まれたかと思ったら、顔を上げられてドキッと胸が鳴った。



「余裕じゃねぇよ」


「…………」


「何度も言ってんだろ」


「んっ…──────」



優しく塞がれた唇。


驚いたのも束の間、気持ちよくなって目を閉じると、店長はそのまま口を開けて私の舌を絡め取った。

体の表面が粟立って、思わず息が荒くなっていく。

ほのかに、タバコの味がした。



余裕じゃない、なんて本当だろうか。


信じ難いけど、少しでも、私のことを考えてくれてるとしたら、それは本当に嬉しい……



絡んだ舌が、ゆっくりと離れると、このまま店長は私の耳元で息を吐いた。


「ぁっ………」


思わず快感からビクッと体が震える。

それを抑え込むかのように、店長は私のことを再びギュッと抱きしめた。



「さくら……」


「っ…は、い」


「───今夜もここ泊まれよ」



期待させるその言葉に胸が高鳴る。


精一杯、コクりと頷くと店長は抱きしめたまま頭を再び撫でてきた。



「あと、寝るつもりで来られても、今夜は寝かす気ねぇからな」


「っ………わ、かってます」



分かってますっていうのもなんか恥ずかしい…が、反射的にそう答えると店長はフッと笑って体を離した。



「仕込み、するか」



その言葉に時計に目を向ける。
確かに、気づいたらそんな時間だ。



「はい」


コクりと頷く。

知らない間に頭痛も治って体も楽になっている。


それに、何より心が楽になった。


話してよかった……。


私は緩く微笑みながら身支度を始めていた。


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